趣味に生きる人格破綻者たち

いわき2011

2017年07月03日 13:51

夜明け前の海だった。
初めましての挨拶を済ませた僕らは、並んで漕ぎ出した。

彼は“An”と名乗った。

前年から僕と2人で漕いでいたF氏と、当日は風邪で欠席となってしまったチョビー氏との3名だったグループLINEに、更にAn氏も加わって頂いて、いわきカヤックフィッシングチーム“SLIDERS”が誕生した。

僕ら4人ともが揃っての出艇機会は数える程しかなかったけど、フルメンバーが揃えば必ずドラマが起きた。
カヤックフィッシングならではの“チームワークで釣る”ことを教えてくれたのは、この仲間たちだ。

どむオ氏が翌年に加わり5名となってからは、実はフルメンバーが揃ったことはなかった。
その悲願の5名フルメンバー出艇が、ようやく叶うこととなった。
皆が都合を調整してまで顔を揃えた理由があったから。

An氏が、いわきを去る・・・


近い将来に転勤の可能性があることは既に聞かされていたけど、その時が来てしまったらしい。

今回はその・・・An氏に捧げる記事だ。


★2017paddling-④①★
☆7/1(土)
☆EP.O
☆ウェアリング:ラッシュガード&ドライパーカー
☆釣り竿:Glissando66,FeatherLight63


An氏との惜別KFを翌日に控えて、この日は老兵氏と出艇した。
翌日は是が非でもAn氏には釣って頂きたい。
何かアシストに繋がるような情報を提供できればとの思いで釣りを開始した。

老兵氏は普段から我々14ft級のメンバーのように沖には出ない。
その老兵氏と会話を楽しみながら浮きたい気持ちと、それと昨シーズン同時期は好釣だったシャローのアイナメのテンポが懐かしくも感じたため、シャローに拘ったプランを考えた。

ジギングタックルは持たない。
フェザーライトでのライトジグ(~80g),バサロをベースとして、グリッサンドではナブラ撃ちに備えつつ状況に応じてピンスロも。

水深10m以浅で並んでスタート!
ジグ1投下目でロッドが曲がる老兵氏!
安定のアイナメでした。

僕も素直にバサロからジグにチェンジすると・・・

アイナメ~!
リリースしました。
が、konoha62入魂となりました!
kayak55に入荷する前に別ショップで購入した方を使っていたから“タイプA”でしたが。

その後は間が空いてしまったため、移動した老兵氏を追うように僕も漕ぎ出す。
トローリングしながら。
久し振りにダイビングジョーではなくランダム80を使ってた。
そしたら・・・ジジーッ!

青物と思われる疾走!
水深は10m以浅だ。
走られたら根ズレが怖い。
ドラグを急ぎ締める!

が、時すでに遅し・・・フッと軽くなったかと思うと、長さが半分ほどになったボロボロのリーダーが戻ってきた。

これはミスだ。
決して“獲れない大物”ではなかった。

その後は老兵氏に追いついて、老兵氏のメバル釣果を目の当たりにした直後・・・

こちらもメバル!これもリリースした。
(この日の老兵氏はメバルを2,3匹だか釣っていた。)
“MMジグⅡ逆付け”は相変わらず優秀だ。

それからは沈黙が続いたため、集中力を切らしての早上がりが頭をよぎる。
翌日の“惜別KF”に備えてポイントのコンディション把握がしたいと思った。



ソイ爆ポイントまで漕いでみよう。
そして、ベイト反応の濃さを把握したら戻って来て、老兵氏にストップフィッシングのタイミングを相談しよう。
そう考えてトローリングしながら漕ぎ出した。

ソイ爆ポイントの手前で水深12,3mほどのところ・・・漕ぎ進める艇の前でモワッと水面がモジッた。
何かいる!
咄嗟にボイルに備えてルアーを回収しようと巻き始めると・・・
ガン!ジジーッ!

イナワラサイズでした!
ルアーは安定のサスケ剛力120でした。

そしてソイ爆ポイントに到着して、魚探を見ながらジグをシャクり続ける。
何も映らない。
老兵氏に『ベイト反応が映らないので、そちらに戻ります。』とLINEした直後・・・

ピコピコピコ!

オールレンジにベイト反応!
更に水面にはピチャピチャとベイトが!

ここから夢中でジグをシャクったけど、何も触らない。
その頃・・・どこからか『バッコ~ン!』てボイル音が時たま聞こえるように。

このボイル音・・・聞き捨てならぬ!
ここ最近の大人しいナブラとは違う激しいボイル音に、期待が高まり沖を眺める。
相変わらずジグをシャクり続ける手元は疎かになりながらも、水面を注視し続けた。

そして・・・1羽の鳥が水面に差した!
続いて周りの2,3羽も同じ1点を目指して飛んで来た!

ダッシュパドリング!
漕ぎながら鳥の動きを見て、これは慌てずとも続いてくれるパターンだと感じた。
途中でパドリングを止めてセンターハッチから取り出したGoProを頭にセットする余裕すらあった。
自分が到着するまでナブラが続くだろうとの確信があったからデキた行動だ。

そして近づくと・・・
バコバコバコ!
ナブラの中からはトビウオが跳び逃げている。

剛力・・・ナブラを撃て~!!


73,4cmと型に恵まれた。

ナブラも止んでしまい老兵氏の元に戻り、根魚も顔を見せなくなったため終わりとした。


★ルアー★



★獲物1匹ゴミ1個運動★

2017総数:獲物70匹ゴミ70個


★ベイト(獲物の胃の内容物)★
ワラサ:シラス~カタクチ


★肴★
呑みに出かけるため調理はしなかった。




★2017paddling-④②★
☆7/2(日)
☆EP.O
☆ウェアリング:ラッシュガード
☆釣り竿:Glissando66,FeatherLight63,SJC-63/180-KR_SJ


この日が来てしまった。
正確に言えば、朝の時点で気分は普段と変わらなかった。
普段通りのKFに向かう心境だった。
An氏とお別れする実感がなかった。
出艇前と、それから沖で集合写真を撮る約束をしていたけど、それが楽しみですらあった。

この日の主役であるAn氏は寝坊が多いけど、この日は前乗り車中泊だったようだ。
皆それぞれ準備を済ませて、出艇前に集合写真を。

チョビー氏考案の謎ポーズを。

そしてソイ爆ポイントを目指して漕ぎ出す・・・
僕が中央,右にF氏,どむオ氏,左にチョビー氏,An氏・・・白鳥の群れのような素晴らしい三角形だ。
そして早々にチョビー氏が・・・トローリングでシーバス!

幸先が良い。

今日はどのような釣況になるのだろうか。
主役のAn氏だけがボウズとか・・・可哀そうではあるけどネタとしてはサイコーに面白い。
そういう時に淡々と釣果を積み上げそうなキャラが、どむオ氏だろう。
僕を師匠と呼んでくれていたのも僅かな期間で、今では竿頭になることも度々ある。
チョビー氏とは、このところ最も同行回数が多いのと、釣り方に関する考え方に似た部分もあるから、浮きながら情報交換できればヒットパターンが見つけやすいかも。
F氏と浮いたのは非常にご無沙汰でした。F氏とEP.Oを開拓したSLIDERS結成前年・・・あの頃が、今の僕らの基盤になっているのでしょう。

何はともあれ、An氏には釣って頂きたい。
でも、単独ボウズのAn氏も見てみたい(笑)
そもそもAn氏はどこか憎めない一面があり、チョビー氏とは陰でAn氏のことを“SLIDERSのマスコットキャラクター”と呼んでいた。
もしかしたら面と向かって本人に言ったこともあったかも。

そのAn氏とは、喧嘩したこともあったなぁ、、、

SLIDERSグループLINEで、An氏vs僕&チョビー氏のような構図で言い合いになってしまったことがある。
その時にチョビー氏が言った『An氏も大人だから、分かり合えるよ。大人になって本気で喧嘩デキる仲間は貴重だよ。』
との言葉・・・SLIDERSが僕の居場所なんだと思い知らされた。

色々なことを思いめぐらせながら、時間は過ぎていき・・・メンバーは順調にボウズ逃れを達成する。
気が付けばノーフィッシュは僕だけとなっていた。
焦る・・・

5人が近い距離に浮いていたため、会話も楽しい。

チョビー氏が『この状況で1人だけ釣れないって、考え方によってはめちゃくちゃ“オイシイ”からね!』と言うものだから・・・(確かにオイシイぞ・・・!)と一瞬だけ思ったけど、いやいや釣りたいだろ!

時刻はまだ5:30
『みんなに気を使わせて悪いから、6:00までには釣るから!』
ボウズ逃れを達成すると気持ちに余裕も生まれて、2匹目は案外すぐ釣れたりするもの。
5人全員が早々とボウズ逃れ出来れば、その後の展開は爆発力すら期待できる。

が・・・『キタ~!』『キタ~!』と先ほどからウルサイのは、どむオ氏だ。
順調に釣果を重ねている。
彼には遠慮などカケラもない。
(もちろん遠慮しながら釣りをする人などいないけど、何故が僕が不調の日には彼が好釣な場合が多い。)
今後は一切『師匠』とは呼ばせないからな!
(言わなくても、もう呼んでくれないかも、、、笑)



そして迎えた5:50・・・どむオ氏の目の前で僕のロッドが弧を描く!!
グングングン!
向こうアワセ的なヒットの仕方だったから、フッキングが甘いかもと感じて追いアワセ!
(ここまで実に冷静で間違いのない対処だったと思うけど・・・)
グングングン!
(首を振るからアイナメかな~?でもアイナメにしてはパワー感じるから、まさかのマダイだったりして・・・グフフ笑)
グングングン!
・・・フッ・・・

ハッ・・・?!

どむオ氏『見ちゃいましたよ~!笑』
チョビー氏『めちゃくちゃオイシイ笑』

ウルサイわボケ~!!

いやいや、こういう会話がね、みんなで浮く時の醍醐味だと思うのですよ。
仲間と浮けること、とても幸せなことだと思う。

気を取り直して6:00ジャストに、どうにかこうにか

ヒラメを。
リリースしましたが。

その後は、チョビー氏の『ナブラ!』
との声を号令に5人でナブラを追いかける時間帯があったけど、散発で捕まえられなかった。
でも途中、ナブラを探しながらジグをシャクっている時に、5人が等間隔で5角形に並び、それぞれが5角形の外側を向いた。
ナブラを探す理想的なフォーメーション?!
自然にこうのような配置に・・・5角形・・・SLIDERSペンタゴン!僕らのチームワークを感じた。

その後は、馴染みのボートの方にお願いして沖での集合写真を。

素晴らしい写真だよ。
一生モンだな。



残念ながら青物は釣れなかったけど、5人でシーバス,ヒラメ,ソイ,アイナメを複数・・・もう1魚種くらい何か釣れたような気がするけど、それはチョビー氏の記事に期待しよう。



夜勤に備えて昼寝の必要がある僕は、同じく用事があるチョビー氏とともに9時で沖上がりすることに。
そのため別れを告げようとAn氏に近付いた。
そしたら・・・
『出会えて楽しかったよ。先にKFを始めてくれていた人がいて、その人と出会えて・・・みんなのおかげで、いわきが楽しかったよ。』
彼の柄にもない言葉に一瞬ウルッとしそうになり、思わず笑ってしまったよ。

またいつか、再会する時には海上で会いたい。



残り30分・・・トローリングで遠回りしてから沖上がりの9:00を迎えると、どうやら全員が上がるらしい。
会話しながらの片付けも、どこか寂しい。

僕がAn氏にしてあげられる最後のこと、、、(獲物がないから必要ない)氷を譲った(笑)

いや、そんな冗談はどうでもよくて・・・
本当に良かった。
最初で最後の5人フルメンバーKFが、無事に終わった。
ボウズもなく皆それぞれ楽しめた。

An氏の転勤先は隣県だから、言うほど絶望的なお別れではない。
またフラッと、いわきで漕いでいそうな気がする。

それから、三番瀬でも会いたいですね。

これからのAn氏と、SLIDERSの安全、、、そして大漁を祈りつつ・・・明日からの6連浮を満喫したいと思います!
(切り替え早っ!笑)



★ルアー★



★獲物1匹ゴミ1個運動★

2017総数:獲物71匹ゴミ71個


★ベイト(獲物の胃の内容物)★
不明(どむオ氏のヒラメは、シラスと言ってたかな?)


★肴★
なし



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